自習室にいる電卓うるさい人
まだ私が会計士受験生だった頃、他人の電卓について2度キレたことがあり、前回そのうちの1つ目についてお話しました。
今回は前回の続き、2つ目です。
自習室でね、ピーターパンと遭ったんです。
ある日渋谷の自習室で勉強していたのですが、私の真後ろの席で20代後半から30前半くらいの青年が勉強していました。
途中まで大人しかったのですが、計算問題を解き始めたのでしょう、電卓を取り出し叩き出し始めました。
しかし、だがしかし。その音がとんでもないんです。
今まで電卓がうるさい人はたくさん見てきましたが、桁違いの騒音。
電卓叩く度に
「ドーン!!!」
って音が教室中に鳴り響くんです。
ドラゴンボールでいえば、悟空と魔人ブウが戦っている時くらいの地響きです。
前回X JapanのYoshikiが試験会場にいたという話をしましたが、彼と同等なレベルです。
これはいてもたってもいられません。
一旦教室に出て友達と緊急会議です。
教室の外に出ても電卓の音が響いていました。
ダンコたる決意
かつてない騒音に教室中がざわついていました。
もうこれは撤退するしかありません。
こちとら人生を左右する大事な試験が控えているのです。
一刻も早く教室を移動し、自習を再開すべきです。
しかし、そんな中、目に映ったのは、私たち以外の当該事件に巻き込まれた困った人達。
ここでふと、漫画「るろうに剣心」の緋村剣心が私に前に降臨し語り掛けてきました。
「目の前の人々が苦しんでいる。多くの人々が悲しんでいる。どんな理由があろうと、それを放っておくなど、拙者はしたくないでござるよ。」
いや剣心さんね、確かに私だって放っておきたくはないですよ。
しかしですよ、私といったらもうMr.ヘタレの名を欲しいままにするほどの臆病者じゃないですか。
漫画で言えば、結局ジャイ子と結婚したパターンののび太君くらいのキャパじゃないですか。
一体どうしろというのですか。
その時、スラムダンクの安西先生も目の前に降臨し、語り掛けてきたんです。
「断固たる決意が必要なんだ」
ここで徐々に私の意識が変わり始めてきたのです。
もう自分だけの問題ではありません。
その教室中、いや、そのフロアの全生徒、将来彼に関わる全ての人のために、私が立ち上がらなければならないのです。
「オヤジ、やっとできたぜ、オヤジの言っていたのが。
ダンコたる決意ってのができたよ。」
丁寧に真摯に向き合えば相手も分かってくれるはず。
気付いたら、拳を握りしめ、彼にモノ申しに歩いていたのです。
ピーターパンとの衝突
そして彼の机の横に立ち、勇気を振り絞って言いました。
「突然大変申し訳ございません。少々ですね、電卓をたたく音が大きいかと思いますので、できればもう少し静かに叩いていただけないでしょうか!?」
ザキヤマばりの下出からの申し出に対し、彼は言ったのです。
「は?んだテメエ?表出ろや。」
うわぁ。
…
言わなきゃよかった。
もうね、すげー好戦的なの。
お宅30近いのにさ、そんな喧嘩とかさ、やめようよ。
もう子供じゃないんだからさ、そんな自習室で大きな声出さないでよ。
ピーターパン症候群ですか。
※「ピーターパン」は人間的に未熟でナルシズムに走る傾向を持っており、『自己中心的』・『無責任』・『反抗的』・『依存的』・『怒り易い』・『ずる賢い』というまさに子供同等の水準に意識が停滞してしまう大人を指す。(Wikipedia<ピーターパン症候群 - Wikipedia>)
なんで大人しく移動して自習しなかったんだろか。
もうね、後悔の嵐ですよ。
安西先生がまた降臨してきてそっと話しかけてくるんです。
「手遅れだよね。諦めたら?」
やかましいわ!
で、そのピーターパン、教室の外に出ていきなり、
「あ?で、なんだって?」
とか挑発してくるんです。
まぁここまで来たら、諦めて戦うしかないでしょ。
勇気を振り絞って言いましたよ。
私「いや、だからですね、少々電卓をたたく音が大きいかと思いますので、できればもう少し静かに叩いていただけないかとお願いした次第でございます。他の方にも迷惑ですし。」
P「は?俺の電卓がうるさいって!?何デシベルなんだよ?」
………は?
デ、デシベル???
え、今デシベルって言ったのこいつ!?
ティンカーベルじゃないよね?
突然相方の名前呼んだわけじゃないよね!?
工事現場でよく使われる音の大きさを表す単位のやつだよね!?
和ませようとボケてくれたのかな!?実はいい奴なのかな!?
もうね、全然意味わからん!
そうです、パニックです。
「俺の電卓の音がうるさいって文句言うんだったら、何デシベルがうるさいのか、それで俺の電卓の音は一体何デシベルなんだよ。」
うわ、これめっちゃうざいパターンのやつ!
いや、確かにね受験生って、こういう思考大事です。
うるさいをまず定義し、問題の対象となっている電卓の音がその定義に当てはまるか否か、一種の証明問題みたいなものなんですな。
ちなみに、普通の会話は60ティンカーベル、電車の車内が80ティンカーベルくらいで、80くらいからうるさいらしいです。
確かに彼の主張は理論としては間違ってはいない。
でもさ、絶対に答えられない質問をすることによって、相手を倒そうとするこの方法は、人として、正常なコミュニケーションの仕方として間違っていると私は思うんです。
しかしですよ、情けないことに、当時若かった私はそんなカエルパンチの様なまさかの角度からの攻撃に、何の反撃もできなかったんです。
しかし、何か言わなければならない!ピーターパンに正義の鉄槌を下さなければ!
そして一生懸命絞り出して言いました。
「う、うっさい!死ね!」
…
…
…
わけわからない奴にわけわからないこと言われたショックと、
死ねしか出てこなかった自分へのショックったらね。
実は自分がピーターパンだったってわけね。
当然だけど、その日は全く勉強できなかったよね。
ピーターパン対処方法まとめ
元受験生そして元会計士講師の立場から、まとめさせていただきます。
とりあえず、会計士受験生の皆さま。
電卓は静かに叩きましょう。
そして、ピーターパンを見たら、
①まずはそっと教室を移動しましょう。
電卓がうるさい奴にろくなやつはいません。フック船長よりも俄然タチ悪い。
②万が一絡まれたら、「死ね」だけは言わないように。小さい自分に絶望を覚えます。
③ご機嫌を取って説得しましょう。
「すごい電卓捌きじゃん!バンドやろうぜ!」
くらい言っても良いかもしれません。
④受付に言う。まぁこれが一番真っ当かもしれないですね。ただし、受付側も立場上、介入は難しいので、あくまで長期的な施策にしかなりません。
全く対策になっていないかもしれませんが、受験中はあくまで自分優先(他人に迷惑をかけない範囲で)。
とりあえず受付に苦情を言うだけ言って、あとは移動。
無駄な体力は使わないという方針をおススメします。
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