鬼嫁様がルワンダでパンを買ってこられた。
なんか見たことあるパンなんですね。
結構長いこと一緒にいたあいつです。
文字通りの「相棒」に瓜二つなわけですよ。
「これは鬼嫁様からのメッセージに違いない」
もうそこから葛藤が始まるわけです。
嫁からのメッセージの選択肢は二つ
- 俺への誘い
- 浮気宣言
正反対の意味を持つがゆえに、この決断は間違えられません。
正直、私と鬼嫁様ってもう住む世界違うじゃないですか。
カースト制度でいえば、
バラモンとシュードラくらい違うじゃないですか。
もし①俺への誘いなら、この申し出を受けないわけにはいかない。
が、そんなことがありうるのか。
うーむ、いくら考えても確証がもてない。
そこで私は観察を始めたわけです。
何事も観察からです。
まずそのパンに施された仕打ちは、
放置ね。
てっきりすぐに食べられるかと思ったのに、
相棒はレンジの上に置かれ、ラップも何もかけられないまま放置。
こりゃたまらんわけですよ。
まさに私のツボをついた攻撃。
ポケモン的に言えば、効果は抜群です。
まずは先制攻撃で、①「俺への誘い」に軍配があがりました。
続いてはレンチン。
これでもかと素のままの状態でさらされた相棒は、
続いて、レンジで温められるわけですね。
ここで、問題は秒数です。
この大きさなら20秒で十分のはず。
そこをね、1分で設定するわけですな。
もうね、そんなにしちゃうの!?的な。
拷問なわけです。
しかも、ここからが神業ね。
1分で設定したのに、30秒で寸止めという芸術技ね。
もう①の可能性しかみれないわけです。
もうこの時点で、
「あ、こいつ俺を誘っているな」
と感じたわけです。
ただ、まだ分からない。
もしかしたら、私のただの過信なのかもしれない。
そこで、最終章を見届けます。
ついにパンを食する時がきたのです。
第一段階で放置され、
第二段階で拷問かと思いきや寸止めをされ、
最終段階では何がくるのか。
次の瞬間、
何の躊躇もなくかぶりつくわけですな。
もう一口で跡形もないわけですよ。
その時の喰いっぷりと来たら、
進撃の巨人が壁を破ってきたのかと思いました。
ここで、過信は確信に迫り、あとは確実に現実と変えていくだけになりました。
私の頭の中でSIAM SHADEのBLACKが流れ始めます。
「抱いて抱いて抱いて抱いて」って聞こえてくるんです。
あとは、私がどう誘うか。
ただね、結婚3年目となると女性の誘い方とか忘れるわけです。
花でも買ってみるか。
いや、店もなければ金もない。
DVDでも見ながらムード作るか。
いや、ガキ使の笑ってはいけないシリーズしかない。
酒で酔わすか。
いや、授乳中は飲めない。
もうしょうがない。
夜寝る時にとりあえずすり寄っていくことにしました。
私たちは、普段はシングルベッドとクイーンベッドをくっつけて寝ており、
私はシングルで、鬼嫁様と子供たちはクイーンで寝ています。
その夜、私は自陣から隣の土地へ移動することを決意しました。
私にとっては大胆な決断です。
ゲルマン大移動です。
意を決して鬼嫁様の土地へ立ち入ってみました。
しかし、その瞬間でした。
「どいて。邪魔。」
動物の本能でしょうか、鬼嫁様の縄張りに入った瞬間、
完全に私を威嚇しているんです。
アフリカの大地がそうさせたのか、元々の野生心か分かりませんが、
私は明らかに敵としてみなされていました。
もう象かカバか何かの類なんですわ。
でもこちらも簡単には引き下がりません。
だって誘ってきたのはそっちなんだから。
でも私がグダグダと土地をうろうろしているものですから、
鬼嫁様が続けて言ったのです。
「消えて。」
耳を疑いました。
まだ浅いとはいえ、3年共に暮らしてきました。
苦しいときもありましたが、共に乗り越えてきました。
その鬼嫁様より、「消えて」の一言。
これはもはや忠告ではありません、警告です。
無視したら殺される。
ゲームストリートファイターに登場する「殺意の波動に目覚めたリュウ」が、
瞬獄殺を放ちに近づいてくる、そんな緊張感に包まれ、
死を意識した私は元の土地へ帰り、
いつもと変わらない夜を過ごしたのでした。
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